当事務所所属の井上能一弁護士と今村邦雄弁護士が、病院・介護施設を経営している医療法人の経営再建のため、理事申立による法的手続の申立を東京地裁に行い、医療法人の民事再生開始決定を受けました。
諸般の事情により、医療法人の理事長による申立てができないものの、事業譲渡による再建が可能な状況にあったので、理事申立という異例の法的手続を選択して民事再生開始決定に至りました。
ネットカフェ利用中の事故で、会社が事業主証明を拒否したケースで労災認定されました。
≪事案≫
大手IT企業の営業社員Aさんが、社外で勤務中、ネットカフェに立ち寄り、レジ精算するために階段を踏み外し転倒し、受傷した案件において、会社の方では、ネットカフェでAさんが業務を行っていたことの確認ができないとして労災申請における事業主証明を拒否しました。
しかしながら、Aさんは社外で営業活動を行った後、ネットカフェに入店し、営業結果を整理するとともに、次の取引先に対する訪問等の営業活動をするために退店しようとした際の災害であるとして、当事務所がAさんの代理人として、事業主証明が拒否された状態で労基署に労災認定申請をしました。
その結果、労基署は、「ネットカフェ利用行為及びネットカフェ利用中に積極的な業務離脱行為を行っていたことは確認されていない」として、業務災害と認定しました。
≪本件労災認定の意義≫
ネットカフェでの災害は、休憩時間中の災害と見做され、業務災害とみなされない可能性がありました。
Aさんが、事故の衝撃により事故時の記憶を喪失し、携帯電話やパソコンのパスワードの記憶も喪失し、ネットカフェで業務を行っていたことが推認できるものの、携帯電話やパソコンを開くことができないため、積極的に業務を行っていたことを立証することが困難でした。
しかしながら、当事務所では、Aさんが頻繁にネットカフェを利用していたこと、ネットカフェに入店する前に業務を行っていたことを立証し、「ネットカフェ利用行為及びネットカフェ利用中に積極的な業務離脱行為を行っていたことは確認されていない」として、業務災害の認定を得たものです。
ITの発展とともに、ネットカフェ等をサテライトオフィス代わりとして利用する場合も稀なことではなくっている今日、ネットカフェでの災害が労災として認定された意義は大きいと思われます。
他の連携事務所とともに営業停止決定の取消を求めた行政訴訟において行政庁による処分取消の判決を得ました。